石徳ではお客様と一緒にこだわりのお墓づくりを進めてまいります。
これまでの事例の一部をお客様の声と一緒にご紹介いたします。
入魂の「小叩きの五輪塔」
四方梵字を「薬研彫り」に
五輪塔・外柵:茨城県産青小目石
墓地探し
最初のご縁は、お嬢様からのご相談で始まりました。
「母が病気で、お医者様から余命宣告されたのですが、自宅近くでお寺のお墓を紹介してください。」とのこと。お約束の場所にお迎えに行くと、ご両親様、妹様、お孫様、総勢8名。皆さんで数か寺をご見学。
小石川のお寺に決定。
「何かあると嫌なので、墓石は建てなくてもいいでしょうか?」
弊社はお墓を建てていただくのが本業なのですが。。。
お客様のお気持ちを第一に考え、「いいですよ」とお答えしました。
11月でした。
墓石の材質とデザイン選び
年が明けて2月、お電話で「家内がなくなりました。お墓の相談をしたいので。」とのこと。
「生前家内と話していたのは、五輪塔が良いねって。気に入ったものがあるので、それの寸法バランスを参考にして、、、」
「レンゲの彫刻は略式なので、もう少し凝った形が良いのだが。。」
弊社から、レンゲの彫刻について参考になるお墓をご説明時に、石材を磨いて仕上るのではなく、ワザと磨かないで仕上る「小叩き*」の手法を御提案。
*小叩き仕上げとは、職人がノミで細かく叩き仕上げし、ノミの鎚跡が微かに残り、経年と共に風格を増すような仕上方法。
五輪塔が小叩きならば、外柵(丘カロート)も磨きではない方が良いのではとご提案。上下の差をさりげなく表現する為、外柵は「ビシャン仕上げ*」に。
*ビシャン仕上げとは、特殊なハンマーで叩いて表面を凸凹に仕上げることです。
材質も茨城県産の真壁青小目石に決定。
何度もお会いして、ようやくデザインが決定しました。
折角なので、文字も「四方梵字*」を「薬研彫り*」でご提案。
*四方梵字は字のごとく、五輪塔の四方に梵字を刻みます。正面から時計回りに「発心門・修行門・菩提門・涅槃門」で、四方正面です。
*薬研彫り(やげんぼり)とは、文字をVの字に切り込むように彫刻する彫り方です。薬研とは薬師が漢方の薬種を粉砕する為の道具のことで、舟形で中が深くVの字にくぼんだ形をしており、薬研彫りの名称はここから来ています。
「薬研彫りする梵字の大きさはお任せします。」とのこと。
責任を持って、職人と打ち合わせして決めた大きさでの彫刻となりました。
製作過程
小叩き仕上げです。
精魂込めて、ノミを叩きます。熟練の匠にしか出来ない、経験と根気がいる作業です。
薬研彫りの梵字です。こちらも、一文字一文字、梵字に魂を注ぎ込む如く、彫刻します。人の手で彫った字は、何かが違います。職人の魂でしょうか。。。
お客様から
完成までの間、お会いすると、
「こうやって手をかけて作ってもらっていると思うと、気が済むんですよ。。。」
「もう他に、してあげられることが無いからね。。。」
「生前に本人が、五輪塔って言ってたから、喜んでくれると思うんだよね。。。」
こんなことをおっしゃっていました。
奥様に対する愛情の深さを感じました。
こんなご夫婦になれたら良いな。。。そう思いました。
ご家族の大切な気持ちが刻み込まれた、五輪塔となりました。